皆さんこんにちは。バイオトイレ担当のSです。
日本時間令和7年3月28日、ミャンマー中部を震源とするマグニチュード7.7の大きな地震が発生しました。亡くなられた方のご冥福並びに、被災された方々の1日も早い復旧・復興をお祈りいたします。
地震災害が近年増えている、ような気がします。先のミャンマー地震や国内でも能登地震、直近では長野県で震度5を記録する地震が発生するなどしています。昨年8月には南海トラフ巨大地震臨時情報が発せられるなど、災害に対する準備の重要性を感じるようになってきました。今回のブログはそんな災害時のトイレ準備に関してお届けします。

マイバイオトイレについて

マイバイオトイレは攪拌、蒸散機能はなく、「し尿」の貯留、臭い拡散防止に限られています。
使用可能回数はのべ200回(MBT-08L型の使用目安)となります。
(※本来はマイバイオトイレの名前のとおり1人1台で使用するのがメーカーさんの開発意図とのこと。)
一方、通常のバイオトイレはモーターでオガクズを攪拌、ヒーターで加熱をすることで「し尿」を分解処理します。
過去のブログでも災害用バイオトイレを取り上げています。気になる方は下記からご覧ください。


避難所におけるトイレ設置基準
災害時のトイレ設置に関しては国際赤十字などが策定した避難所の国際基準として「スフィア基準」というものがあり、内閣府においてもこの基準を基に「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン 平成28年4月策定(令和6年 12 月改定)」というものが作成・公開されています。
※上記ガイドラインについて詳しくは青文字をタップ(内閣府防災情報のページに飛びます。)
・災害発生当初は、避難者50人当たり1つ
・避難が長期化する場合には増設し、20人当たり1つとする
・トイレの平均的な使用回数は、1日5回
この基準に従ってバイオトイレを設置した場合、災害用と通常のバイオトイレでどのような違いが出るのか検証しました。

検討条件
災害発生時のトイレ使用状況を下記の通り仮定します。
◎大規模災害が発生し、避難が必要な状況となる。
A.公設避難所等の避難。避難者は100人。
B.在宅避難や病院の4人部屋など少人数避難。避難者は4名。
◎避難期間は1か月とする。
A.公設避難所等の場合(100人避難)
まずは必要なトイレの台数から。前述のスフィア基準によると5台必要となります。
▲何日使える?
マイバイオトイレの使用上限は200回となっています。これを100人の避難者が共用した場合・・
100人÷5台=20人・・・・・・(20人ごとに1台のトイレを使用してもらう)
20人×5回=100回 ・・・・・・(1日100回使用される、災害用の使用上限は200回)
→2日使えます。オガクズ交換作業が15回必要です。
しかも200回分のし尿を含んだオガクズは50㎏以上(1回250cc×200回の重量)の重さ。
交換時には結構な重労働になりそうです。
▲備蓄すべきオガクズの量
マイバイオトイレに入っているオガクズは80L。2日ごとの交換として必要なオガクズ量を計算します。
30日÷2日=15回 ・・・・・・・・・・・・・(オガクズ交換回数)
15回×80L=1,200L×5台=6,000L=6㎥・・・(必要なオガクズの量)
→1カ月で6㎥のオガクズ(1㎥は3辺が1mの大きさ)が必要となります。
※同時に備蓄スペース、廃棄スペースの検討が必要。
B.少人数避難の場合(在宅避難や病院等4人部屋)
Aと同様に必要なトイレの台数から。
前述のスフィア基準を4人の避難者に当てはめ、1台のトイレで問題ないと想定してお話を進めます。
▲何日使える?
先述のとおり使用上限は200回。これを4人の避難者が使用する・・
4人×5回=20回 ・・・・・・(1日20回使用される、災害用の使用上限は200回)
→10日間使えます。オガクズ交換作業が3回必要となります。
A同様にオガクズ交換の大変さは変わりません。
▲備蓄すべきオガクズの量
マイバイオトイレに入っているオガクズは80Lです。10日ごとの交換として必要なオガクズ量を計算します。
30日÷10日=3回 ・・・・・・・・・・・・・(オガクズ交換回数)
3回×80L=240L=0.24㎥・・・(必要なオガクズの量)
→1カ月で0.24㎥のオガクズ(家庭用ごみ袋(45L入り)約6袋)が必要となります。
※同時に備蓄スペース、廃棄スペースの検討が必要。
C.通常のバイオトイレ(電源使用)を使った場合
Aの場合(条件は同じ、避難者100名、1カ月間)
トイレ利用回数
5回×100人=500回/1日。
スフィア基準より50型バイオトイレ5台が必要。
(写真のSKM-50-2D等)
トイレの使用上限は1日当たり100回×5台=500回
オガクズの使用限界、交換は4か月ごと
避難期間中オガクズ交換の必要はありません。
※発電機など電源が必要(24時間通電)

Bの場合(条件は同じ、避難者4名、1カ月間)
トイレ利用回数
5回×4人=20回/1日。
スフィア基準より18型バイオトイレ1台が必要。
(写真のGKR-18型等)
トイレの使用上限は1日当たり22回
オガクズの使用限界、交換は4か月ごと
避難期間中オガクズ交換の必要はありません。
※発電機など電源が必要(24時間通電)


まとめ
災害時の避難所ではトイレ問題が顕在化します。トイレ利用を控えてしまうことでエコノミー症候群となり、脳梗塞や持病の悪化をもたらすことも。平時から災害のことを考えしっかりと準備しておくことが何より安心につながることではないでしょうか。
災害準備の参考になれば幸いです。個別のアドバイスも承りますのでお気軽にお問い合わせください。
